とある土木女子の日記

ブラック企業や日常のアレコレをつづる日記です。好きなものは旅と猫。

「風の谷のナウシカ」は原作がすごい

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映画版は原作の2割

ずいぶん前にジャケット買いして10年放置してた漫画と言うのが、宮崎駿の「風の谷のナウシカ」でした.。

映画版は日曜ロードショーかなんかでとなりのトトロ千と千尋の神隠し天空の城ラピュタとあわせて有名どころですが、そんなに好きな作品ではなかったです。

どれが推しと聞かれたら「人がゴミのようだww」で有名なムスカの出てくるラピュタが好きでしたね。

 

で、ナウシカですが映画版では、原作7巻のうち2巻までの内容がもとになってます。

クシャナ率いる大国によって、巨大な虫達が風の谷へ突進するピンチを迎える。

虫の言うことが分かるナウシカが犠牲になって瀕死になるのだが、横たわったナウシカに虫の触角がのびてきて彼女を包んで復活させる。

自然と共生して虫や動物にも優しいナウシカが、故郷の風の谷に平和をもたらしましたとさ。ちゃんちゃん。

そうかぁナウシカは偉いなぁと子供心に思ってたが、原作を読み込んでジブリ作品ではナウシカだろうぐらいになった。

 

原作(漫画版)は、単純な善悪二元論ではない。

映画版だと、巨人兵持ってきてオームを囮に風の谷を攻める敵国のクシャナや戦争が悪!、で平和と生き物を愛するナウシカが正義と言うわかりやすい立ち位置だった。

当時映画を見てた時点で、子供ながらになんかもやもやしたものだ。

風の谷は確かに平和になったけど。。

 

漫画版だと、ストーリーがけっこう現実的

戦争が起きるのも荒廃した土地がほとんどで、生きながらえる事の可能な領土の取り合いのため。

ナウシカの故郷も大国に同盟しないと侵略されるので、しぶしぶ従軍するとかいうスタートだ。

 

主人公のナウシカの性格も単なる博愛主義者でもないし、敵国や民族の設定、出てくるキャラクター、各種エピソード、世界の構造なども違う。

一言でいえばかなり大人向けの作品だったんだなと思う。

宗教問題とかもそこかしこにでてたりで、宮崎駿はすごいなと思った。

 

登場人物がより人間味があってよい

ネタバレになるが、実は登場人物は全て人造人間だったというオチがラストの方で判明する。

汚染されたバージョンでも生きられるような構成に造られた人類と言うのがナウシカたちなんだけど、本来の人類は清浄になった世界でしか生きられないらしい。

逆にナウシカたちは清浄になった世界では生きてられなくなるそうで。

 

性格についても、主人公のナウシカさんはすぐ咬みつくアレなキツネリスにも「痛くない怖くない」と手をかませながらも懐かせる優しい女子だった。

ヒロインの見本といっていい。

ところが漫画版になると、ナウシカは11人兄弟で唯一の生き残りでけっこう性格が病んでるところがみられて人間らしい。母親は育児放棄よりな毒親テイストだしな。

 

敵国のクシャナ殿下さんも、父親である国王は母親の再婚相手で、血のつながらない国王の息子3人が兄という複雑な家庭だ。

しかも、義父である国王はクシャナを殺そうとする。

毒殺(というか病気になる液体を飲ませて廃人化)しようとした時は、クシャナ母が代わりに飲んで精神に異常をきたしたまま人形のような状態に。

映画版とは違って、部下の死を無駄にしない人情味あふれるかっこいい人だ。

原作を読んだ人はネット評でも同僚でもクシャナ萌えが多い。

 

その他

映画でも出てきた巨人兵も漫画版で出てくるのだが、ここでは巨人兵は人口生命体。

まだ生きているという設定で、シュワシュワ音を立てながら身体が出来上がってくるのだが、たいてい身体が作成中の状況で登場するので臭いという設定があったりする。

あと、人口知能搭載で破壊力抜群のビーム出したりエヴァンゲリオンっぽい。

もっというと、人類が裁きを与える役割の存在として作らせた人口生命体だそうだ。 

 

昔からあるテーマと言えばあるテーマ

ナウシカたち人造人間は、あくまで人類が目覚めるまでの代打で地球の汚染が解消されるまで番をさせるための存在とか。。。

 

海外だとちょっと古いけど、ブレードランナーに雰囲気が似てるかもしんない。

ノーベル文学賞の「私を離さないで」の話も、臓器ドナーとして育てられてる人類とかも似てる。

普通に人間と思って育ってきたのに、実は別の存在のための消耗品でしたというなんともいえないオチが共通してる。

 

SFが好きな人は楽しめる作品。ブレードランナーは古くて見た事がないのだけど、またみてみようと思う。